サンウッド旧ニュース8
● 元加賀小学校依然再開できず
東京・江東区 (2003.8.1 NHK)
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依然としてトルエンの濃度が高い
シックハウスの原因となる化学物質のトルエンが東京・江東区の改修された小学校の 校舎から基準を超えて検出され使えなくなっている問題で、江東区の調査の結果、依然 としてトルエンの濃度が高いことが分かり、二学期始めから校舎の使用を再開すること は難しい見通しとなった。
この問題は、東京・江東区の元加賀小学校(モトカガ)で、この春、改修が終わった 校舎から国の基準を上回る高い濃度のトルエンが検出され、150人余りの児童が鼻や 目の痛みを訴えたもの。 このため、江東区は一学期の間、児童を改修した校舎から近くの別の施設に移して授 業を続けてきた。
しかし、夏休みに入った先月(7月)23日に教室のトルエンの濃度を測定した結 果、依然として基準を上回っていたため、江東区では、全ての教室に空気を入れ替える 装置を取り付けたり、壁や床に付着しているトルエンを洗剤で洗い流したりするなどし て改善を図ることになった。
その上で江東区は今月(8月)末に空気中のトルエン濃度を改めで測定し校舎の使用 を再開するかどうか検討することにしているが、結果が出るのは9月に入ってからの ため、二学期初めから使用を再開することは難しい見通しとなった。
● シックハウスを親子で学ぶ教室
東京・豊島区 (2003.7.29 NHK)
ヘッドライン
シックハウスの原因や対策を勉強
家の中の化学物質が人体に悪い影響を及ぼすシックハウス症候群の原因や対策を親子で 学ぶ教室が、東京・豊島区で開かれた。
この教室は夏休み中に健康について親子で考えてもらおうと豊島区が開き、25人 の小学生と母親が参加した。 教室ではシックハウスの原因の一つとされ、接着剤などに含まれる化学物質のホルム アルデヒドが、自分の家の空気にどれだけ含まれているかを調べた。 子どもたちは自宅で容器に入れて丸一日以上置いた水に試験薬を混ぜ、ホルムアルデ ヒドが溶け込んでいることを示す緑色に染まると驚いた様子だった。 また家の模型を使って、どのようにドアを開けると効果的に換気できるかなど、シッ クハウスの予防方法についても学んだ。
参加した子どもの一人は「身の回りの物からたくさんの化学物質が出て驚いた」と話 し、また母親の一人は「今後は有害な化学物質を含んでいることが疑われる商品は買わ ないようにするとともに換気にも気を付けたい」と話していた。
● 裁判所が初のシックハウス対策
大阪 (2003.7.29 毎日)
ヘッドライン
化学物質のため出廷できないか、我慢している
シックハウス症候群の重症例とされる化学物質過敏症(CS)になったと訴えた民事 訴訟の原告側が「裁判所内の微量の化学物質に反応して出廷できない」と改善を要望し 、大阪地裁と法廷を管理する同高裁が改善する方針を示したことが29日分かった。 地・高裁側は、既に所内の害虫駆除剤や除草剤の薬品名や成分のリストを開示している。 今後、清掃業者に害の少ない薬剤使用の検討を要請し、法廷内での化学物質の空気中濃 度測定をもとに専門家の助言を得て対策を実施する。
浦和、前橋、青森、盛岡各地裁でもCS患者が同様に提訴したが、化学物質のため出 廷できないか、我慢しているという。今回の取り組みは、公共施設の化学物質に対する バリアフリー化の先例となりそうだ。
きっかけは、自宅の新築でシックハウス症候群になった大阪市東淀川区の19歳と15歳の 兄弟が4月に提起した「シックスクール訴訟」。2人は学校がシックハウス症候 群に配慮しなかったため、CSになるなどして通学できなくなったと主張し損害賠償を 求めたが、提訴当日に大阪地裁に入った際、化学物質に反応し、頭痛や鼻血で敷地外に 出ざるを得なかった。
このため、「シックハウス連絡会」(事務局・東京都練馬区)など三つの患者・支援 団体が5月、大阪地裁所長に対策を要望。「施設内と周辺の環境で身体への悪影響が予 想される」として、身体に影響のある化学物質が含まれない製品を施設管理に使用する 、施設内外での害虫駆除は極力行わず、やむをえない場合も身体に影響のある原料を避 ける――などを求めた。
地高裁側は協議に応じ、「指摘してもらったら可能な限り対応したい」として、ワッ クスや洗剤、消毒剤などを含め約20項目の化学物質リストを示し、空調、換気設備に ついても説明。対策の検討を進めている。
大阪地裁総務課は、今回の原告に限らずに可能な限り考え、裁判を受ける 権利や傍聴による裁判の公開の原則を確保したい、と話している。
● 高濃度トルエン検出の小学校で再調査
東京・調布 (2003.7.18 NHK)
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床に近いところで非常に高い濃度のトルエン
東京・調布市の小学校で児童がのどの痛みなど「シックハウス症候群」の症状を訴え た問題で、一部の教室の床に近いところで非常に高い濃度のトルエンが先月検出された ことを受け、教育委員会による再調査が今日行われた。
この問題は調布市立調和小学校で、去年九月新しい校舎に移った後、児 童たちがのどや目の痛みを相次いで訴えたものである。
調布市教育委員会では、住宅建材に含まれる化学物質が原因の「シックハウス症候群 」の可能性が高いと見て調査を続けているが、先月行われた調査の結果、二つの教室 で空気中の化学物質の濃度は国の基準を下回ったものの、床に近い個所でトルエンの濃 度が非常に高くなっていることがわかった。
このため教育委員会では、今日「シックハウス症候群」に詳しい民間の団体に委託 して、あらためて調査を行った。
調査は隣接する教室を含めた三つの教室で行われ、それぞれの教室に機材を持ち込ん で、床の近くや教室の中央部の空気を採取した。
調査結果は来月上旬にはわかるということで、教育委員会では結果を分析した上で、 化学物質の濃度を低くするための対策を検討することにしている。
● シックハウスで園児42人が調停申立て
大阪府堺 (2003.7.17 共同)
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指針値の12倍のトルエン
大阪府堺市東湊町の「湊保育園」(園児150人)で、高濃度の トルエンにさらされシックハウスの症状が出るなど精神的な苦痛を 被ったとして、園児42人が17日、堺市と建設会社などに 計2100万円の損害賠償などを求める民事調停を堺簡裁に申し立てた。
申立書などによると、湊保育園は2002年4月、市立湊保育所 が民営化され開園した。開園直前に空気検査を実施したところ、国 の指針値の約12倍の濃度のトルエンが検出された。
しかし、市は保育園開設を中止せず、同年7月の健康診断で19 人の園児がシックハウス症候群と診断された。
園児側は、市は高濃度のトルエンの検出を認識しながら開園を認 め、園児らがトルエンにさらされることを見逃した過失があると指 摘。民間の保育園でも市は保育実施義務者として責任を負うと主張 している。
また建設会社と設計会社は、トルエンに対して抜本的な対策を取 らなかったなどとしている。
申し立てに対し、堺市は「内容を見ていないが、シックハウスの 疑いによる不安から、保育を受けられなかった子供もいることを踏 まえ、調停の場で誠実に対応したい」とのコメントを発表した。
● シックハウス校舎使用再開
東京・墨田区 (2003.7.10 NHK)
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トルエンの濃度が基準以下に下がった
東京・墨田区の小学校でシックハウスの原因となる化学物質のトルエンの濃度が増築 した校舎内で国の基準を大幅に超えて検出された問題で、墨田区はトルエンの濃度が基 準以下に下がったことから、あす(11日)からこの校舎の使用を再開することになった。
この問題は今年4月、東京・墨田区の八広小学校(ヤヒロ)で増築した校舎の大気中 からシックハウスの原因となる化学物質のトルエンが国の基準を大幅に超えて検出され 、児童13人が目やのどの痛みを訴えるなどしたもの。
墨田区では、この校舎に入っていた一年生と二年生、それに六年生の児童およそ270 人を別の校舎に移すとともに、トルエンの発生原因の塗料や接着剤が使われた部分 を改修するなどして濃度を下げる作業を進めてきた。
その結果、先月22日の測定で校舎の全ての場所でトルエンの濃度が基準以下に下 がり、保護者の同意も得られたことから、あすから校舎の使用を再開することになった。
墨田区では今後、校舎を新築したり改修したりした際には、化学物質を測定して基準 値を上回る場合は引き渡しを受けないなど、シックハウス対策を強化することにしている。
● シックハウス対策改正建築基準法
国交省 (2003.7.1 NHK)
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クロルピリホスとホルムアルデヒド使用規制
白アリの駆除剤や合板の接着剤などに含まれ、いわゆるシックハウス症候群の原因とな る二つの化学物質について、7月1日から建築基準法で建材への使用が規制される。
シックハウス症候群は、住宅の建材などに含まれる化学物質が室内に発散して頭痛や 目の痛みなど健康障害を起こすものである。
国土交通省は被害を防ぐため建築基準法を改正し、7月1日から住宅やマンションなど の新築と増改築を対象に規制をはじめる。
規制では白アリ駆除に使われる「クロルピリホス」を建材に使うのを禁止する他、「 ホルムアルデヒド」を接着剤に使った合板などの使用を制限し、同時に室内に換気設備 をつけることを義務付けている。
シックハウスをめぐっては現在、13の化学物質について厚生労働省が室内濃度の指 針値を定めているが、今回の規制の対象はこのうちのクロルピリホスとホルムアルデ ヒドの二つだけで、最近、学校などで問題になっているトルエンは規制の対象にはなっ ていない。
また内装などのリフォームについては規制の対象にならないため、国土交通省は今回 の規制でシックハウスの被害をすべて防ぐことはできないとして、こまめに換気をする ことなどを呼びかけるパンフレットを作り、自治体を通して住民に配布することにして いる。
● 内装工事の塗料とシンナーからトルエン
東京・江東区 (2003.6.30 NHK)
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国の基準を上回る高い濃度のトルエン
シックハウスの原因となる化学物質のトルエンが東京・江東区の改修された小学校の 校舎から基準を超えて検出された問題で、教室の内装工事で使われた油性の塗料と、そ れを薄めるためのシンナーからトルエンが発生していたことがわかった。
この問題は、東京・江東区の元加賀小学校で、この春、改修が終わった校舎から国の 基準を上回る高い濃度のトルエンが検出され、150人余りの児童が鼻や目の痛みを訴 えるなどしたものである。
江東区はトルエンが検出された教室で空気を採取するなどしてトルエン がどこから発生しているか調査を進めてきた。
その結果、教室の内装工事で使われた油性の塗料と、それを薄めるためのシンナーに ナフサや灯油などのトルエンを含んだ混合物が入っていたため、トルエンが発生してい たことがわかった。
江東区は内装工事にはトルエンを含んだ材料を使わないよう業者に指示していた が、塗料とシンナーの成分表示にはトルエンを含んだ混合物の名前しか書かれていなか ったため、業者がトルエンは入っていないと考えて使ったとみられている。
江東区は今後、内装工事については油性の塗料やシンナーは使わず水性の塗料に替え るなどして再発の防止を図って行くことにしている。
● シックハウス対策の研究会発足
住環境医学研究会 (2003.6.30 NHK)
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安全性をチェック
データベースとして公表
住宅や学校の建材などに含まれる化学物質で頭痛や目の痛みなどを引き起こすいわゆ るシックハウスを防ぐため、医師や建築業界の専門家らが、きょう、研究会を発足させ 、建材の安全性をチェックしたり、相談を受け付けたりする態勢を整えることになった。 きょう、発足した「住環境医学研究会」は、シックハウスの被害者の相談などを受け 付けているNPO、非営利団体が呼びかけたもので、医師や大手建材メーカーの技術者 などおよそ30人が参加している。 東京・新宿で開かれた記者会見では、代表者が、今後、建材や接着剤、塗料などに含 まれシックハウスの原因とされている14種類の化学物質について独自にテストして安 全性をチェックし、データベースとして公表することを明らかにした。 また、シックハウスが起きた場合、原因を調査したり、建物を建てる際に相談を受け 付けるシックハウスコンサルタントを育成したりする方針が示された。 シックハウス対策を巡っては新しい建築基準法が7月1日から施行されるが、規制の対 象となっている化学物質はわずかに2つだけで、この研究会では、「どうやって家を建 てたら本当に安全なのか、具体的な対策を研究して普及させていきたい」と話している。
● シックハウス校舎で墨田区が処分
東京・墨田区 (2003.6.28 NHK)
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トルエンが国の基準を大幅に超えて検出
東京・墨田区の小学校でシックハウスの原因となる化学物質のトルエンの濃度が、増 築した校舎内で国の基準を大幅に超えて検出されていたのにも関わらず使用していた問 題で、墨田区は区長など11人を減給などの処分にすることを決めた。 この問題は東京・墨田区の八広小学校(ヤヒロ)で今年3月増築した校舎の大気中か らシックハウスの原因となる化学物質のトルエンが国の基準を大幅に超えて検出されて いたのにも関わらず、4月の始業式から4日間に渡って使用していたものである。 この間児童数人が体の不調を訴えていた。 この問題で墨田区では児童や保護者に不安を与え区の信頼を低下させたとして、山崎 昇(ヤマザキノボル)区長と教育長の2人を減給10分の1、1か月とした他、関係者9 人を訓告や注意の処分とすることを決めた。 八広小学校の増築された校舎ではその後トルエンの濃度は下がったため、墨田区では きょう保護者説明会を開いて理解を得た上で教室を再び使いたいとしている。
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