無垢フローリングを自分で貼る!
2005年9月11日、知人に頼まれ、自然塗装無垢フローリングを貼ってみました。 私は、商品としてのフローリングに日々接しているものの、貼る*3という作業は全く初めて。 職人さんの貼るところは時々見ていますので、方法は一応わかりますが経験はありません。 そんな私が一部屋何とか貼り終えて、 思いの外難しい点とか、逆にそれほどでもない点とか気がついた事を報告します。 自分でフローリングを貼ってみようという人は参考にしてください。
貼るのは、どういう部屋か
図のような形で床面積は約21平米、もともと絨毯だったところをフローリングに 貼り替えました。巾木が使用できないので、収縮率の低いチークを選択。 標準のサイズ15X90X1818ミリ、ユニタイプを14ケース(7坪)、約23平米使いました。 床下は、置き床方式で12ミリの合板が基台になっていました。 根太に12ミリ合板を捨て貼りしたのとほぼ同じ条件です。 合板がやや傷んでいましたが、かまわず上に貼りつけました。 多少の床鳴りは覚悟の上です。 材料にあまり余裕がないので、乱貼り*1にしました。
準備するもの
- エアコンプレッサー
- 1台あると便利!
- バーゲンで7000円で手に入れた物です。 フローリングの釘打ちはエア工具を使わないと大変な作業です。 自分で持っていない場合は誰かから借りて準備しましょう。
- エアタッカー
- これも安物ですが価格は覚えていません。もう少し大きいものの方がよいです。 エアコンプレッサーもエアタッカーも出来るだけ馬力の大きなものにしましょう。 さもないとタッカーが十分打ち込まれず、苦労します。
- タッカー(フィニッシャー)
- 今回は長さ30ミリを使いました。 実はタッカーとはいわずフィニッシャーと呼ぶのが本当のようです。 タッカーは先が二つに割れたステープル(ホッチキス)状のものとのこと。 ステープルは十分打ち込むのが難しいので一本釘のフィニッシャーにしましょう。
- 電動丸鋸とテーブル
- おがくず対策が必要!
- 2000円のスチールテーブルに165ミリ径用電動丸鋸をつけました。 テーブルはなくても出来ますが、幅を落としたり、サネを切り落としたりするのには、やはりテーブルがあった方がやりやすいです。 長さを切るのに別に押し切り電動丸鋸があった方が良いと思いました。 長さを切る時にはテーブルから外した方がやりやすいので、 付け替えの作業で時間をずいぶんロスします。 丸鋸は60P程度のよく切れるものを購入します(あまり安いのは駄目)。
- ゴムハンマー
- いつも手元に!
- ちょっと小さすぎて使いにくかったです。
- メジャー
- 5メーター以上のものを用意しましょう。長さを測るほかに、直線を出すのにも使えます。
- 直角定規(差し金)
- 絶対必要です。いろいろな場面で使います。長さのカットなども差し金をガイドにすれば直角に切れます。
- 接着剤
- 1液性ウレタン樹種系床用接着剤。 水回りなどは2液性のエポキシ系接着剤をおすすめします。
- ヘラ
- 接着剤を塗りひろげるのに使用。なくても大丈夫。
- 金槌とポンチ
- タッカー(フィニッシャー)が上手く打てなかった時などに使います。
- ノミ
- ちょっとした欠き落としとかに使います。なくても大丈夫。
- 鉛筆
- 結構使います。
- サンディングペーパー
- 80番、180番、240番、400番を使いました。
- バール
- 反ったフローリングを矯正しながら貼る時に便利です。なくても、足で押さえれば大丈夫。大きめのマイナスドライバーでも代用可能。
- カンナ
- 今回は使いませんでしたが、技術があればカンナは役に立ちます(一般人には難しい)。
- 扇風機
- あれば嬉しい。ほこり、おがくずを吹き飛ばしながら作業をします。
いよいよスタート
計画を立てる
まず、どこから貼り始めるかよく検討します。 今回は適当に図A1-A2から始めたために、後で苦労しました。 部屋のゆがみなども充分チェックして検討してください。 どうすべきかは読み進めればわかります。
廊下の1列目
雄実(ザネ)が左手前でしたので、図A1から始めました。
接着剤*2をつけ、フローリングを置いたら、
壁に軽くつくように手前(雄ザネ)からゴムハンマーで叩いて押し込みます。
長さ方向もA1の方向にピッタリ寄せます。
次は、タッカー(フィニッシャー)打ちです。雄ザネの根本部分から45度から60度の角度で打ち込みます。
もしタッカー(フィニッシャー)の長さが25ミリでしたら70度位に立てた方が良いでしょう。
何かの加減でタッカー(フィニッシャー)が十分入りきらない場合は、ポンチと金槌で打ち込みます。
エアコンプレッサーの圧力が十分高いかチェックしましょう。
2枚目はドアの下枠にぶつかるので長さ切りです。
長さのサネ溝(雌ザネ)側から電動丸鋸で必要な長さにカットします。
押し切り電動丸鋸だと簡単です。
うっかり雄ザネの方から切らないように注意しましょう(何回か失敗しました)。
2枚目のフローリングの雄雌をひっくり返して一枚目の横に並べ、
境(下枠とか壁)に当てて1枚目のフローリングの左端から鉛筆で線を引けば正確な印が付けられます。
廊下の2列目
3枚目は、切り残しを2列目に貼ります。まず接着剤をつけて、フローリングを並べます。 サネ溝が雄ザネにしっかり入るようにゴムハンマーでたたき込みます。 強くつけすぎないように注意して下さい。 長さ方向もしっかり押し込まれている事を確認します。最後にタッカー(フィニッシャー)を打ち込みます。 これをどんどん繰り返し貼ってゆきます。幅反りのものは出来るだけ端に回すようにしますが、 反ったものを貼る時は、バールか足で無理矢理押し込んで矯正しタッカー(フィニッシャー)で留めます。 その場合、タッカー(フィニッシャー)は1か所に15センチおき位に3、4個打ち込んだ方が安全です。 タッカー(フィニッシャー)の打ち込み角度を60度、45度、60度のように変化させると、保持力が上がります。
廊下最後の列
30ミリ幅で、サネ溝の下を落として相ジャクリ風にしたものが必要になり、 電動丸鋸をテーブルにつけ加工を始めました。 相ジャクリ風にするのは(右図)、何回か失敗すればすぐに出来るようになります。 幅落しも、まっすぐであれば、テーブルにガイドを取付ければそれほど難しくありません。 しかし今回は、壁がまっすぐでなく5ミリ程丸く反っていましたので、それに合わせるのは至難の業でした。 鉛筆で印を付けて、だいたいの形を作り、電動丸鋸でなぞって切り落します。 最後に粗いサンドペーパーで削り落とします(カンナが上手ければ簡単なのですが)。 満足出来るまでやっていたらいくら時間があっても足りません。 こういう所は多少雑に仕上げ、巾木で隠すのが正解です (もともと壁から5ミリほど隙間をあけるのが正しい床貼りですから)。 ここではタッカー(フィニッシャー)はフローリングの上から垂直に打ちつけます。 釘穴が目立つようなら補修して見えないようにします。
リビングのスタート
まずA2からA4に向かって貼り始めました。少し慣れてきたので、結構順調に進んで行きます。 ところが大事件。B2あたりまで来て、何と、 A2-A4の壁がC4-C6と平行でなくA4が約15ミリ奥(図の右方向)にへこんでいる事を発見。 このままでは、全部ななめになってしまいます。 C4-C6ラインと平行にするためには、どこかでななめのフローリングを貼らねばなりません。 しばしコーヒーブレイク。悩んだあげく、A2から全部はがしてやり直す事を決意しました。 はがすのは、精神的にも、物理的にも結構厳しい作業でした。
リスタート
まずC4-C6ラインに合わせてまっすぐな線を引きました。
その線に平行で、また廊下のフローリングと線が一致するような線をB2-B4あたりに引きます。
平行の誤差は2-3ミリ以内に収るようにします。
今度はその線からA2-A4壁に向かって貼り始め、壁が最後になります。
案の定、壁部分はかなりななめに幅カットしたものを用意する必要がありました。
電動鋸でななめに切り落とすのは結構難しいです。さっきの丸く切り落とすのよりは簡単でしたが。
最初の計画では、まず基準線を決めましょう。
完全に直角で平行な部屋というのは多分ありませんから、部屋のゆがみと形状からどこを
基準にするかよく考えて、しっかり計画を立ててください。
今回は最初からC4-C6を基準にすべきでした。
仕上げ
ここまで来ると後は簡単です。 先程引いた線から反対に向かって貼って行きます。 運良く、C4-C6基準線との間には、ちょっと幅の狭いものを入れる事で上手く収りました。 少し難しいのは、L字型にカットする部分が何か所かあった事です(D3とE5)。 それも今では簡単、簡単!(とはいえ時間はかかります)。 電動鋸で切り落として80番サンディングペーパーで平らにします。 切り落とした角は180番サンディングペーパーで 糸面をつけるのを忘れないようにしてください。 見た目がぐっときれいになります。 貼り終わったら表面のざらつき、きずなどを最終チェックします。 ざらついている所は、400番サンディングペーパーで軽く研磨し、自然塗料をうすく塗りつけます。 キズは補修してから同じように研磨、塗装します。
最後に
貼ってみて
フローリングを自分で貼ってみよう、と考える理由としては
- お金の節約
- やってみたい!!という好奇心
などがあげられるでしょう。 そして、そのどちらも満たしてくれること、うけあいです。 ていねいにやろうとすれば、手間と時間はかかる(当たり前ですが)。 そのかねあいを考えながら、貼り直しは覚悟の上、気長に貼って行きましょう。 狭い部屋の中でも1列貼るごとに上達して行きます。 今回は3日かかりましたが、リビングのやり直しがなければ、多分、丸2日 (家具をあらかじめ移動しておくのと、工事後に元に戻すのは別です)。 なお「〆切」がきつい場合はプロに任せるのが無難です。
捨て貼りについて
個人的には、床下に合板の捨て貼りがあるのは、何となく嫌です。 気密性が高くなりすぎるのではと心配だからです。 しかし今回フローリングを自分で貼ってみて、捨て貼りがなかったら難しすぎるなと思いました。 のりづけも簡単、タッカー(フィニッシャー)もどこでも打てる、幅反り材を矯正して打ち込むのも 捨て貼りがなかったら相当大変です。 本当は合板でなく昔のように杉板を捨て貼りできれば良いのですが。 何か良い方法があったらぜひ教えてください。
貼る時期
私見ですが、湿度の高い時期に隙間なくきっちり貼るのが簡単だと思います。 乾燥時に微妙な隙間をあけながら貼るのは多分かなり技術が必要でしょう (名刺などをはさみながらやるわけですが)。 フローリング材の平衡含水率は年間を通じて11%から6%程度の間で動きます。 平衡含水率が5%動くと木材の幅は1%程度動きます。 90ミリ幅のフローリングですと約1ミリになります。 このくらいの動きは無垢の場合仕方ないと思ってください。 実際無垢フローリングを貼ってみると、1ミリの隙間は何の違和感もありません。
巾木
今回は使えませんでしたが、巾木は必ず使う様にしましょう。 壁から5ミリ程度隙間をあけてフローリングを貼るのがポイントです。 フローリング膨張時の逃げになりますし、壁が多少ゆがんでいる場合でも 余り加工に気をつかわなくてすみます。 幅落しをした跡が多少ばらついていても、巾木で隠せます。 貼るのがずいぶん楽になるはずです。
注釈
- ※1
-
乱貼りというのは、次のような方法です。
例えば 2900ミリのところに 1800ミリのフローリングを貼る場合に、
(1) まず 1800ミリを貼り、次に 1800を 1100にカットして、貼り接ぐ。
(2) 残った 700ミリを次の列の最初に貼り、次に 1800ミリを貼る。そのあと、1800ミリを 400ミリにカットして、貼り接ぐ。
(3) 残った 1400ミリを次の列の最初に貼る。
これを繰り返して貼っていく方法です。 乱貼り以外の場合、例えば、一列置きに、長さの継ぎ目をそろ えて貼ってゆく様な方法(レンガ貼り)ですと、かなり捨てる部分が増えます ので、その分余計に数量が必要です。 - ※2
- 接着剤は水回りはエポキシ系、それ以外はアクリル樹種系またはウレタン樹種系という事になっていますが、 自分で貼る場合は1液性ウレタン樹種系がやりやすいと思います。 あとではがすかもしれない場合は少な目に使いましょう。 下が反っていたりして床鳴りが心配なところは多めにします。
- ※3
- 「貼る」より「張る」の方が正しいかもしれません。