サンウッド旧ニュース3
● 新車の室内は高濃度汚染
大阪公研 (2003.1.5 共同)
ヘッドライン
国の目標値の30倍以上
購入直後の新車内の空気は国の目標値の30倍以上の揮発性有機 化合物(VOC)で汚染され、目標値以下になるのに3年以上もか かることが、大阪府立公衆衛生研究所の吉田俊明主任研究員の研究 で5日までに分かった。 近年、シックハウスや化学物質過敏症に悩む人が増えていること から、厚生労働省が車を含む室内の空気中の化学物質について指針 を定めた。しかし、車内の汚染実態はこれまでほとんど調査されて いなかった。
吉田研究員によると、新車で購入した国産のワンボックスカーの 車内空気を、納車後2カ月間は1週間に1度、その後は1カ月に1 度の頻度で約3年間、分析した。車は日常生活で利用し、年間の走 行距離は約六千キロ。 納車翌日には、炭化水素類を中心に113種類のVOCが検出さ れ、総VOC濃度は空気1立方メートル当たり約13,800マイ クログラム。厚生労働省の暫定目標値400マイクログラムの約35倍だった。 目標値まで下がるのに4カ月かかったが、高温になる夏には2年 後でも目標値を大幅に上回り、超えなくなるのは計算上、3.3年 かかると推計された。
検出されたのはエチルベンゼンやキシレンなど塗料の溶剤に使わ れる物質が多く、ゴムの劣化防止剤などもあった。 吉田研究員が測定したのは1台だけだが、この車とは別メーカー のトヨタ自動車広報部は「温度や換気具合など測定条件によっては 、高濃度のVOCが検出されることはあり得る。まずは知見の蓄積 が必要で、当社でも業界でも研究に着手している」と一般的に、新 車の空気がVOCに汚染されている可能性を認めている。 吉田研究員は「換気するのが一番だが、これらの物質が発生しな いような材質の開発をメーカーにお願いしたい」と話している。
● 建築基準法施行令を改正
国交省 (2002.12.19 毎日)
ヘッドライン
来年7月1日から
国土交通省は19日、シックハウス症候群の原因とされる化学物質の使用を禁止・制 限するための建築基準法施行令の改正を発表した。20日に閣議決定し、来年7月1日 から施行する。シックハウス症候群に関して、具体的に化学物質が使用禁止になるのは 初めて。
規制対象はシロアリ駆除剤として使用される「クロルピリホス」と、合板の接着剤な どに使用される「ホルムアルデヒド」の二つ。クロルピリホスは住居用に使用すること を禁止し、ホルムアルデヒドは発散量に応じて使用を制限する。また、室内の空気の換 気量が1時間当たりで、室内の空気の半分以上になるよう換気基準が盛り込まれた。
シックハウス症候群の原因物質としては、トルエンやキシレンなども指摘されている が、今回は規制対象にならなかった。
● シックハウス対策で政令内定
政府 (2002.12.19 時事)
ヘッドライン
面積制限が柱
政府は19日の事務次官会議で、建築基準法関係の政令案を内定した。シックハウス 対策として、健康被害の原因となる化学物質のホルムアルデヒドを内装に使う場合、発 散量などに応じて面積制限することが柱。施行日は2003年7月1日。20日の閣議 で正式決定する。
● 住宅の性能表示制度の認知度
国交省 (2002.12.17 共同)
ヘッドライン
「内容知っている」約半数
地震に対する強さや、シックハウス対策がとられているかなど住 宅の質を第三者が評価する住宅性能表示制度について、評価を受け た住宅の居住者でも、内容をおおむね把握している人は約46%に とどまっていることが、のアンケートで分かった。
同制度は、住宅の購入者を保護するため、2000年10月から始 まったが、認知度はまだ高いとはいえず、国交省は制度のPRを進 めたいとしている。 調査はことし3月までに評価を受けた住宅に住んでいる2,579人を対象に、 712人から回答を得た。 アンケートによると、制度を利用したメリットとして「第三者機 関による評価を受けているので安心」(72%)、「住宅の売り手 とトラブルが起きた場合、迅速な紛争処理が受けられる」(56% )などが挙がった。 性能表示される九分野のうち、最も重視したのは耐震性など「構 造の安定」(95%)で、シックハウス対策が十分かを調べる「空 気環境」(81%)、「火災時の安全性」(79%)も高かった。
● シックハウス対応製品
INAX (2002.12.13 共同)
ヘッドライン
来春から販売
INAXは13日、シックハウス症候群の原因物質といわれるホ ルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性の有機化合物の使用量を抑 えた製品を来春から本格的に販売すると発表した。 洗面化粧台や内装用建材など14の製品を売り出し、3年後をめ どにすべての製品を有機化合物の使用を少なくしたものに切り替え る。
厚生労働省が室内濃度ガイドラインで指針値や目標値を示してい る13種類の化学物質のうち、毒性が高い8つの物質は使わないほ か、製品の性能を維持するために必要な5種類の物質は使用を抑え る。
● シックハウス症候群被害調査へ
日弁連 (2002.11.16 毎日)
ヘッドライン
日弁連が初の調査
建材などの防腐剤や塗料、農薬などの影響で、微量の化学物質で体調を崩す「化学物 質過敏症(CS)」について、日本弁護士連合会が初の調査に乗り出した。シックハウ ス症候群の被害が顕著になってきたためで、年度内に政府に対し、法規制のあり方など を提言する。
日弁連公害対策・環境保全委員会の佐藤泉弁護士(第一東京弁護士会)ら8人が担当 し、被害者や専門家、建築家からの聞き取りを進める。 CSの被害は家庭だけでなく、学校の新改築に伴う「シックスクール」という形で児 童、生徒、教師らに増えており、文部科学省も調査を計画している。また、会社で働く 労働者にも広がっており、労災認定を巡っても今後、問題となりそうだ。しかし、被害 者全体の概数などはどこも把握していない。 佐藤弁護士は「国民の誰もが被害者になる可能性があるのに、救済や予防の視点から 法制度は十分でない。総合的な化学物質の規制が必要と思う」と話している。 日弁連は16日午後1時から、東京都千代田区の弁護士会館で公開シンポジウム「化 学物質過敏症とは何か」を開く。
● 学校、保育園で400人以上
市民団体 (2002.11.6 毎日)
ヘッドライン
シックスクール
化学物質の影響でシックハウス症候群や化学物質過敏症(CS)になり、学校や保育 園で体調が悪くなった経験を持つ子どもや教員らが全国で少なくとも400人を超えて いることが、被害者団体や市民団体の調べで分かった。調査は北海道、群馬、神奈川、 大阪、佐賀に拠点を置く6団体が把握した範囲に限られ、実態は相当数に上るとみられ る。保護者らは「義務教育も受けられない場合もあり、重大な人権問題」と早急な対策 を求め、文部科学省も全国調査する方針だ。
学校や自宅の新築・改築や農薬散布などをきっかけに体が化学物質に対して鋭敏にな り、校舎のワックスや殺虫剤、芳香剤などで体調を崩すケースを「シックスクール」と 呼ぶ。NPO「化学物質過敏症支援センター」(横浜市)など6団体が98~今年に把 握した「シックスクール」のリストによると、医療機関に診断を受けるなどした被害者 の子どもは385人、教師や保育士は30人。しかし、これらの被害者は氷山の一角と みられる。
同センターなどへの報告によると、CSの子どもが通学しても、学校側が配慮せず、 ワックスや農薬などの薬剤散布をしたり、嫌がる本人を理科室に連れて行くなどの事例 が相次いでいる。このため、症状が深刻化して不登校になるケースがある。アトピー性 皮膚炎が悪化したり、休みがちになったりすることから、いじめの対象になることもあ るという。
文科省学校健康教育課は「市民団体が把握した数字についてはコメントできない。現 在、児童生徒の実態を把握しようとしており、専門家にアンケート項目や調査方法を検 討してもらっている」と話している。
● 県営賃貸住宅の入居延期
高知県 (2002.10.21 毎日)
ヘッドライン
トルエン0.68PPM
高知県が新築した県営賃貸住宅で、シックハウス症候群の原因物質の一つとされるト ルエンの濃度が国の指針値を大幅に超えたため、県は10日、同住宅への151世帯の 入居を延期したと発表した。国土交通省住宅総合整備課は「シックハウス問題で、公営 住宅の入居を延期した例は聞いたことがない」と話している。
高知市神田にある県営船岡団地(153戸)で、8月末に県衛生研究所が15戸の室 内検査をしたところ、塗料などに使われているトルエンの濃度が厚生労働省の指針値( 0・07ppm)を大幅に超え、最高で約10倍(0・68ppm)だった。今月5日 の測定でも、15戸平均で0・196ppmを記録した。
入居は今月15日以降となっていたが、県は当面1カ月間、換気するなどの措置を取 り、入居を延期することにし、10日、入居予定者対象の説明会を開き事情を伝えた。 説明会は11、13両日も行う。県は、現在の家賃と県営住宅家賃との差額分や、引っ 越しのキャンセル費用などを負担する。
● ホルムアルデヒドに初の規制値
厚労省 (2002.10.7 共同)
ヘッドライン
空気1m3中0.1ミリグラム以下
建材などに含まれる化学物質が引き起こすシックハウス症候群対 策で、厚生労働省は七日、ビル衛生管理法の政令改正案をまとめた 。オフィスビルなど多数の人が集まる一定面積以上の建物の維持管 理基準に、原因物質の一つとされるホルムアルデヒドの室内空気中 の規制値を新設する。
これまで国の指針しかなく、ホルムアルデヒド濃度の法的規制値 は初めて。改正案は八日の閣議で決定、来年四月に施行される。 厚労省によると、対象となるのはオフィスビルや官公庁、学校、 百貨店などビル衛生管理法上の「特定建築物」で、全国約三万四千 施設。ホルムアルデヒドの規制値は、従来の国の指針と同じ「空気 一立方メートル中○・一ミリグラム以下」とする。 都道府県などの立ち入り検査で規制値を超えれば改善指導の対象 となり、管理者が従わなければ建物の使用を中止させる「罰則」も 適用される。
厚労省は関連省令も改正し、建物の新築や大規模改修時に管理者 に濃度測定を義務付ける方針。規制値を超えれば換気の徹底などの 改善策を取らせる。ただ、定期的な測定の義務付けは「浮遊粉じん などほかの規制値が守られていれば、ホルムアルデヒドの濃度も低 く抑えられる」として見送る考え。 新築、増改築後間もない建物で利用者が頭痛やのどの痛み、目ま いなどを訴えるシックハウス症候群は、建材の接着剤などから発生 する化学物質が原因とされる。国土交通省が建築基準法を改正し、 ホルムアルデヒドを含む建材の使用制限を打ち出すなど国レベルで 対策が本格化している。
● 13%が指針値上回る
国交省 (2002.9.5 共同)
ヘッドライン
ホルムアルデヒドの指針値0.08ppm
シックハウス症候群の原因の一つで、合板の接着剤などに使われる ホルムアルデヒドが、新築から1年以内の住宅の13.3%で国が 定めた室内濃度の指針値を上回ったことが、国土交通省の2001 年夏の調査で5日分かった。
2000年末の前回調査28.7%に比べると、半分以下となった が、以前低いレベルとはいえない状況だ。国交省は来年にホルムア ルデヒド使用の法規制が始まることから、平均濃度の引き下げを更 に進めたいとしている。
2001年夏の時点で、建ててから一年以内の住宅1726戸の室 内化学物質濃度を調べた。このうち230戸の住宅が、快適で安全 な生活を送る目安となるホルムアルデヒドの指針値0.08ppm を超えていた。平均は0.05ppmで、最も値が高かったのは0. 24ppmだった。 他の化学物質で指針値を超えていたのは、トルエンが6.4%、キ シレンが0.3%で、ホルムアルデヒドが突出していた。
2000年調査で指針値を超えた住宅を追跡調査したところ、 指針値を再び上回ったのは約半年後で28.7%に、1年後には0.5% にまで減少した。新築住宅は化学物質が発散しやすいことや、 換気などに注意したためと見られる。